酒を口にするようなって50年あまり。
毎晩呑むようになって40年ほど。
大きな病気をしたことがないので、酒を吞まなかったのは、インフルエンザ、帯状疱疹、新型コロナに罹患した時くらいで、それぞれ空けたのは2~3日ほど。
今回、胃潰瘍と診断され、2週間、一切アルコールは口にしなかった。成人後、初めてのことだ。
胃潰瘍の原因の一つであるピロリ菌の除菌治療が終わり、医師から少しなら飲んでもよいと言われ、缶ビールを1本飲んだ。
日本酒は ? いゃ~、未だ未だ。
胃潰瘍が完治するまでは我慢。
しかし、” 酒鬼 ” である私にとって、それはとても淋しいことだし、それに、
かつての同僚や友らと酒を酌み交わすことができないのは、とても悲しい。
ふと、李白の詩、『将進酒(しょうしんしゅ)』のことを憶った。
周知のとおり、李白は、中国・唐代を代表する詩人で、「詩仙」と称される一方、大の酒好きとしても知られている。
酒をこよなく愛し、酒を飲むことで数々の名作を生み出した。
書棚には、李白や漢詩・漢文に関する本がそこそこの数並んでいる。
いつか時間ができたら、ちゃんと学び直してみようと買ったものだが、数冊しか読めていない。
仕事も何とか落ち着いてきたし、ここらで基礎から学び直してみよう。
快癒の祝い酒は、島根松江市「李白酒造」の特別純米にごり酒にしよう。
さっぱりとしていて微発砲、夏向きの地酒だ。
ー 将進酒 ー
< 読み下し文 >
君見ずや 黄河の水の天上より来たりて 奔流して海に到って復た回らざるを
君見ずや 高堂の明鏡に白髪を悲しみ 朝には青糸の如きも暮には雪と成るを
人生 意を得なば須らく歓を尽くすべし
金樽をして空しく月に対せしむる莫れ
天の我が材を生ずるは必ず用有り
千金散じ尽くすも 還た復た来らん
羊を烹 牛を宰き 且らく楽しみを為し
会ず須らく 一飲三百杯なるべし
岑夫子 丹丘生
酒を進む 君停むる莫れ 君の与に一曲を歌わん
請う君 我が為に耳を傾けて聴け
鐘鼓 饌玉 貴ぶに足らず
但だ 長く酔うを願いて 醒むるを用いず
惟だ飲者の其の名を留むる有り
古来 聖賢 皆 寂寞
惟だ飲酒のその名を留むる有り
陳王 昔時 平楽に宴し 斗酒 十千 歓謔を恣にす
主人 何為すれぞ 銭少なしと言うや
径ちに須らく 沽取して 君に対して酌むべし
五花の馬 千金の裘
児を呼び 将ち出して 美酒に換えしめ
爾と同に銷さん 万古の愁い
< 訳文 >
君はみただろう 黄河が天から流れ落ちてきて
勢いよく海に流れて逆流することはない
君はみただろう 貴人が曇りのない鏡にうつる白髪頭を悲しんでいるのを
若かったころは青い糸のようだった髪が年老いて雪のようになるのを
人生はそんなもの 大いに楽しもうではないか
金の酒樽を月の光に照らしてほっておく手はない
天が私に命を与えたのは 必ず役に立てようとしたからだ
大金を使い果たしても また手に入れられる
羊肉を煮て 牛肉を調理して 楽しい食事をするときは
酒はいつも三百杯飲むべきだ
岑君よ、丹先生
一緒に酒を飲もう もう飲めないなどと言わせない
あなたのために一曲歌おう 耳を傾けてよく聴いてくれ
音楽や御馳走は それだけではありがたくない
酒をたっぷり飲んで長く酔っぱらって いつまでも醒めないことを望むだけだ
昔から聖人賢人といわれた人は寂しいものだ
ただ酒飲みだけが後世に名を残している
陳王はその昔 平楽で宴会を開き
一斗の酒に一万銭をかけ 思い切り楽しんだものだ
主人は金がないなどと言わずに
すぐに酒を買いに行かせ 君にお酌をすべきだ
きれいにたてがみをそろえた馬や 高価な毛皮のコートも
下男に持たせて うまい酒を買ってこい
君らとともに 尽きぬこの憂いを消そうではないか
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