飲食物を、店外に持ち出すことを大別すると、次の二つです。
◇ デリバリー or 出前
従業員などスタッフが飲食物を店外に持ち出して客の自宅等に届けること。
◇ テイクアウト
いわゆる「持ち帰り」、客が直接持ち出す場合いう。ドライブスルーもテイクア
ウトの一形態。
さて、(株)想夫恋のホームページ ” 西日本一帯に広がる店舗網 ” には、
「味を守ることと、衛生管理上の為に一切出前をやってはならない。」
と掲載されています。
この言葉に、食に対して一切の妥協を許さない角社長の信念が収斂されています。
上記のとおり、想夫恋は出前はしませんが、テイクアウトは行われています。来店できない人などへのサービスです。
もう何年も前、住吉店でのこと。
焼きそばのダブルを注文した後、店長に、「手土産にするので、持って帰りたいのだけれど…」と言うと、店長は、「何時間後に食べますか」と。2時間くらいあとだと告げると、ならばお作りできません、時間が経つと、麺がのびて、味が落ちてしまうと。
- 客に、死んだ想夫恋焼は食べさせられない -
丁寧で折り目正しい接し方の中に、強さを秘めたキリッとした態度。
なるほど、確かにそのとおりとだと思いました。そして、端然としたその姿勢に感心したのです。
日田に住んでいる人の中には、想夫恋がB-1に関わらないことを批判的に見る向きがあるようです。
これについて、端的に言えば、
想夫恋の焼きそばは、B-1グランプリのようなイベントなどで提供するような調理法の「焼きそば」ではない、ですからその類いのイベントには出ないのです。
イベント向きの焼きそばは、「短時間調理」、「大量製造」です。
想夫恋は、手間と時間をかけて作り出されるもの、食に対する考え方が、根本的に異なります。
一方、「日田やきそば研究会」はどうでしょう。この集団は、客のことなど考えてはいません。
短時間に大量に作り置きし、麺がのびようが、味が落ちようがどうでもよいのです。
今年11月に開催された「B-1グランプリin北九州」を観れば、それが歴然としています。
すなわち、想夫恋にあるのは、味に対する厳然としたこだわりと客に対する誠実さ。片や「 日田やきそば研究会 」は金目あての売名、両者の心がけの違いです。
この両者の本質がわかっていれば、浅薄な思いが生じることはないのです。
将来にわたり、このような高邁な姿勢を貫かれることを願って止みません。
<「想夫恋店の考察Vol.2 - 個人タクシーを思わせる想夫恋店とその味 -」はこちら>
<「想夫恋店の考察Vol.1 - 想夫恋の焼きそばに、「地域の味」があることの是非-」はこちら>