宮崎県えびの市・小林市、鹿児島県霧島市の境界にまたがる『 韓国岳 』は、霧島山(きりしまやま)の最高峰である。
ご存じのとおり、霧島山という固有の山はない。
霧島山は、九州南部の宮崎県と鹿児島県県境付近に広がる火山群の総称であり、霧島連山、霧島連峰、霧島山地あるいは霧島火山群とも呼ばれ、最高峰の韓国岳(標高1,700 m)と高千穂峰(標高1,574 m)と周辺に連なる山群をいう。
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韓国岳に初めて登ったのは、40年以上も前のことだ。
職場の同僚B君と宮崎県に出張を命じられた折り、仕事を終えてえびの市まで足をのばし、「 国民宿舎 えびの高原荘 」に宿泊し、翌日、韓国岳に登った。
それから、数回、霧島の山々に登った。
韓国岳から高千穂河原への縦走では、新燃岳の火口に青緑色の水が貯まった「新燃池」が見られた。
秋の陽を浴びてエメラルドグリーンに輝く火口湖は、言いようもないほど美しかった。
その後、新燃岳の火山活動が活発となり、入山規制などもあったことから、長いこと霧島連山を訪れていなかった。
近々、久しぶりに韓国岳に登ることにした。
で書棚を探してみると、『 登山マップ 九州南部編 』が見つかった。
30年ほど前、霧島山に登っていた頃に買った本だ。
とてもチープな表装、目次すらない。
しかし、標高差を立体的に表示した図は、一般的な登山マップと違った面白さがあって捨てきれなかった。
とは言え、山を歩くには最新の情報は不可欠なので、昭文社の『 山と高原地図 霧島・開聞岳 市房山・高隈山 』を買った。
今時、紙の地図 … ?
登山用のアプリがあればいいんじゃ …
いやいや、紙の大きな地図には違った魅力があるのです。
付属している小冊子もまた勉強になる。
それに、この地図と同じエリアの「 山と高原地図ホーダイ 」アプリが、半年間無料で利用できる特典も付いている。
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ところで『 韓国岳 』の名称の由来のこと。
古事記に「 韓国に向ひ笠沙の御前を真来通りて… 」とあり、山頂からは韓の国(朝鮮半島)まで見渡すことができるほど高い山なので「韓国の見岳(からくにのみたけ)」と呼ばれた」との説が少なからず見られる。
しかし、これってやっぱ違うでしょ。
実際に山頂から朝鮮半島を見たことはないし、おそらく見ることはできない。
この山の名前の由来については、古代史研究家の大和岩雄氏が、その著書『 秦氏の研究 』の中で指摘している。
「 現在の霧島市を中心とした地域は、当時、豊前豊後地方にいた朝鮮系渡来人が移住してきた地域で、国分隼人から見える霧島連山の秀麗な山々の姿が、故国(朝鮮半島)の山々を彷彿とさせるものであったろうと推測される。」
「彼らは、この霧島連山最高峰の山に、故国への追慕を寄せて、故国の方角を見たことだろうと思います。その最高峰の山に《韓の国》を想起しながら《韓国岳》と表記したのではないかと推測されるのです。」
この話、とんでもなく長くなるのでいずれまた別の機会に書いてみたいが、そうした古代の歴史も想いながら山を歩くのもまた楽しい。
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