かつて、JR吉塚駅近くのオフィスで働いた。
時々、吉塚商店街に出かけ買い物をした。
その一角の漬物専門店『 田中商店 』の漬物は、安くて美味しかった。
残念ながら、先月3月30日で閉店となった。
その理由は、食品衛生法の改正だという。
2021年に施行された改正食品衛生法で、「 漬物製造 」が許可制になった。
3年間の猶予期間を経て、この6月から、許可を得ていない事業者や農家は販売できなくなる。
許可を取るためには、手を触れなくても水が出るセンサー式手洗い場など、国が定める衛生基準をクリアする設備で製造した漬物しか販売できなくなる。
当然、許可を得るためには、多額の設備投資が必要だ。
零細な事業者に、そんな力はない。
身近な『 田中商店 』さんもその一例だが、無論、それだけの話じゃない。
例えば、全国各地の『 道の駅 』などで販売されている特産の漬物も同様だという。
農家の副収入としての「 漬物 」が消えていくに違いない。
さらにいえば、「 味噌 」もまた同じだろう。
※ ※ ※
ところで、小林製薬の「 紅麹(べにこうじ)」のサプリメントを巡る健康被害問題で、「 機能性表示食品制度 」に注目が集まっている。
機能性表示食品制度は、安倍政権だった13年6月の規制緩和による成長戦略で「 健康食品の機能性を表示できる新方策 」について記載され導入が決まった。
消費者庁に届け出れば、商品パッケージに機能性(効果)を表示できる。
そして、2015年導入。
届け出のみで国の審査はなく、当初から安全性などへの懸念が指摘されていた。
制度の創出では、消費者・小規模事業者の利益を謳いながら、その実、企業のための制度。安全性は、はなから置き去りにされていたのだ。
企業のために『 機能性表示食品制度 』を創り、一方で、零細な事業者を潰す『 食品衛生法 』の改正。それを行ったのは、故安倍元総理だ。
かつて、村上誠一郎元行政改革担当相は、安倍氏について「 財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊して、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に選挙まで手伝わせた。私から言わせれば国賊だ 」と述べた。
そんな村上氏の言葉が胸中に湧き立つ。
やはり ” 今だけ、金だけ、自分だけ ” の政治か …
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