『 今だけ、金だけ、自分だけ 』。
このフレーズを世に出したのは、東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏である。
鈴木氏の著書『 食の戦争 』が発刊されたのは2013年。
同書は、日本がTPP(「環太平洋パートナーシップ協定」)への参加に際し、様々な議論が巻き起こる中、我が国の食の安全保障の観点から、TPPをはじめ、アメリカが仕掛ける秘められた戦略を考察し、その正体を世に知らしめた良著である。
『 今だけ、金だけ、自分だけ 』のフレーズは、この本の序文 ー はじめに 食の安全を手放すな ー の冒頭に書かれている。
政界、企業、行政はもとより、およそ組織や集団と言われるもの ー 分野や規模の大小を問わず、また個人も含めて ー には 、このフレーズを想起させる人間が必ず存在する。
人によっては、「金」を、「地位」あるいは「権力」に変えると、より合致する場合もある。
そうしたこともあってか、世相をよく反映している言葉と思った人も少なくなかったにちがいない。
そして、様々な人たちがこのフレーズを解釈し、それぞれの分野で援用したりもした。
※ ※ ※
一つ、ずっと気になっていることがあった。
序文の結びには、次のとおり記述されている。
ー なお、「 今だけ、金だけ、自分だけ 」というフレーズは、池田整治氏の『 今、「 国を守る 」ということ 』(PHP研究所 2012年) よりヒントを得たことを申し添えておく。 ー
当時、この言葉に興味を引かれた私は、その本を読んでみた。
アメリカのアジア戦略について、具体例を挙げて日本人に警鐘を鳴らす。
表現は違うが、昨今取り沙汰される、所謂「ディープステート」の存在を暗に感じさせる記述もある。
著者の池田整治 (いけだせいじ)氏は、得体の知れない陰謀論者ではない。
氏は、元陸上自衛官で、防衛大臣直轄機関のひとつで、警務・法務等の分野について、陸上自衛官だけでなく海上自衛官・航空自衛官等を教育する陸上自衛隊小平学校の校長も務めた幹部自衛官、陸将補である。
鈴木宣弘氏がフレーズのヒントを得たというこについては、結局よく解らなかった。
がしかし、研究分野の違いはあるものの、池田整治氏にシンパシーを感じ、緩やかに池田氏の著書に誘っているようにも思えた。
現在、ウクライナ危機に端を発する国際情勢の変化を受け、農林水産省は、
「 農政の憲法 」といわれる『 食糧・農業・農村基本法 』の見直しを進めている。
25年ぶりのことだ。
昨今の国際情勢を考えると、日本の行く末を左右する極めて重要な改正となる。
それを担い進めるのが、政府・自民党だ。
にもかかわらず、今般の政治資金事件では、すべからく秘書に責任を押しつけ、
知らぬ存ぜぬの厚顔無恥。関心は己の保身のみ、無責任極まりない輩ばかり。
数多くの社会課題が山積する中でのこの有様。
まさしく ” 今だけ、金だけ、自分だけ ” …
♪ 日本の未来は Wow Wow Wow Wow
♪ 世界がうらやむ Yeah Yeah Yeah Yeah …
これが日本の実相 … 愚者の楽園か …
嗚呼 … 何とも嘆かわしい。
<「 ー ふと想起される言葉 vol. 2 ー 」はこちら>
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