雑穀が日本人を救う … / 雑穀を食べる vol.1

 

 

2022年頃から、身の回りの様々なものの値上げが続いている。

 

まず、エネルギーが高騰。

ガソリンばかりでなく、都市ガスや電気料金が上昇した。

それは製造業にも影響を与え、食料品をはじめとして日用品の物価が上昇した。

 

最も大きな要因は、コロナ禍が収まっていない段階で起こった2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻だ。

 

穀倉地帯であるウクライナへの侵攻で世界の物流が大きく変化し、食糧の争奪戦で高値に推移するのは当然の結果だ。

 

さらに、世界的な異常気象もじわじわと食糧生産に影響を与えている。

 

こうした中、「 食料安全保障 」に注目が集まるようになった。

 

食料や農業問題に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「 もし台湾有事となれば、日本人の半数が餓死する可能性だってある 」と指摘した。

 

 

 

  

かつて穀物の一方の雄であった粟。

 

『 稲作文化 』の常識に反して、田とは異なる豊かさを提供してくれた各地の「 野 」。

 

食用だけでなく道具や衣類そして儀式の象徴となる鹿。

 

さらには「大きな魚」としてのクジラ…

 

粟、田、野、猪、鹿などのテーマが取り上げられ、数多くの文献史料・考古学資料を基に、綿密で深い考察から立論を展開する。

 

考古学研究の第一人者として人気を博した森浩一氏の良著である。 

 

 

     ※     ※     ※

 

 

この著書の、第一章「粟と禾」中に、次の記述がある。

 

 

” 一段の粟で夫婦が食える ”

 

粟の食材としての重要性を述べようとしているのだが、現代人にはなかなかぴんとこないだろう。畠に粟が栽培されている様子を見たこともなく、主食として食べたことのない人には無理もないことである。

 

せいぜい小鳥のエサとして与える粟であったり、モチアワを材料とする大阪名物の菓子「岩おこし」 や京都市北野の粟餅、それと夏に時々食べる菓子「粟羊羹」やアワフ(粟麩)しかぼくの身近に粟は存在しない。 

 

 

” 粟は禾の子 ” の節では、

 

奈良時代前期の元正天皇は、 新家皇女ともいった女帝である。

農業、とくに稲以外の粟を代表とする畠作物の植付けを奨励した天皇としてぼくは注目している。

 

霊亀元年(715年)10月、詔を出し、諸国の百姓が稲作に頼りすぎて「 陸田の利を知らず」としたうえで、国司を督励し「百姓に麦と禾の両方を植えること、男夫一人ごとに二段」とした。そのあと「凡そ粟の物たる、久しきを支えて敗れず、諸穀のなかにおいて、もっとも精好なり」と評価し、百姓の納税(祖)を稲に代えて粟でしようとする者がいたら、これを聴せと命じている(『 続日本紀』)。  

 

 

 

 

永きにわたり、日本の国家経営の骨格であった「米」。

一方で、米と農民、その周辺にある民と生活。

 

学説、通説、諸説入り交じり、漠然とした様相は今もそう変わってはいない。

 

そうした中、

 ・「日本の深層文化」( 森 浩一 )

 ・「稲の日本史」( 佐藤 洋一郎 )

 ・「米・百姓・天皇」( 網野 善彦 、石井 進 )

 

この三冊は、日本人の生活と米との関わりに、輪郭を与えてくれる良書だ。

 

年々減り続けてきた米の消費と減反政策。

そして、食糧自給率の低下と食糧安全保障 …

 

一朝一夕には解決できない。

ましてや今の政府与党では …

 

それはそれとして、小麦と米だけが主食じゃない。

あらためて、雑穀はいいと思う。

 

粟などの雑穀のストックはある。

ちゃんと食べてみよう。 

 

 

 

「 ー  雑穀を食べる  ー 」はこちら>

 

 

「 ー  家メシのブログ 3  ー はこちら>