『 深夜食堂 』第二部 第13話に登場する料理が「 あさりの酒蒸し 」だ。
その酒蒸しが盛り付けられているのが、アルマイトの鍋。
とは言っても、この鍋で酒蒸しを作ったのではない。
作るのは、別の鉄製フライパン。
アルマイトの鍋は、器として使われている。
たまに家で、同じようにアルマイトの鍋で酒蒸しを食べる。
アルマイトは、アルミニウムを加工したものだ。
アルマイト加工は、大正13年、日本の理化学研究所の植木・宮田の両氏により発明されたものである。
『 アルマイト 』の名称も日本でつけられたもの。
その後、アルマイトは世界に広まり、加工方法も様々な手法が開発されているそうだ。
このアルマイトの鍋、昔はどの家庭でも使われていたものだが、戦後、日本経済が飛躍的に成長を遂げていく中で、ホーローやステンレス、銅製などの洒落た鍋に押されて主役の座を降りていく。
安くて軽く、扱いやすいが、ある意味、前時代的な鍋だ。
山登りやキャンプでは、ずっとアルミのコッフェルや食器を使っていたが、家の中ではホーロー鍋を使っていた。
<「 スノーピーク テーブルウェアセット デュオ / オートキャンプのテーブルウェア ー 山道具の棚卸し 連々話 vol. 51 ー 」はこちら>
そんなホーロー鍋も、いつしか業務用のアルミ鍋や鋳物鍋へと変わっていった。
確かに、アルマイトの鍋は扱いやすいものの、煮込み料理には不向きだし、色気ってものがない。若い頃は、そう思った。
ところが、いつの頃からかアルマイトの鍋に郷愁を覚えるようになった。
レトロな昭和の風情が何ともいい …
※ ※ ※
そんなことで、今では4つのアルマイト鍋を使っている。
上から、あさりの酒蒸し、インスタントラーメン、みそ汁、煮魚用といったところ。
他に、博多中州の古い飲み屋で使われているシルバーアルミの『 オオイ金属 よせ鍋 18cm 』もある。
好みなんて変わっていくもんで、結局、相応のものが合うってことか …
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<「 松野屋 アルマイト籐巻 コッフェルセット & アルマイト手付マッコリカップ ー 山道具の棚卸し 連々話 vol. 45 ー 」はこちら>
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