バレンタインデーが近づくと、ファディの店頭には『 初恋ブレンド 』が置かれる。
” 初恋 ” か … つい買ってしまう。
” 初恋 ” と言えば、村下孝蔵。
♪ 好きだよと言えずに 初恋は
ふり子細工の心 ♪
ちなみに、世に「ふり子細工」なるものはない。
村下孝蔵氏の造語である。
「ふり子」= 揺れを繰り返すもの。
「細工」= 壊れやすい、細やかなもの。
ゆえに、”ふり子細工の心”とは、揺れ動く壊れやすい心といった解釈が巷ではなされている。
社会人になってから、
判断がぶれず、泰然として、強くタフなリーダーになることを目指した。
おまけに、やせ我慢、虚勢、武士は食わねど高楊枝 …
「ふり子細工の心」とは対局にある。
世俗の垢にまみれる前、誰しも「ふり子細工の心」であった時があると思う。
『 初恋 』という言葉に心が微動するのは、そうした時代への郷愁かもしれない。
※ ※ ※
それはさておき、この『初恋ブレンド』。
商品紹介には、
ー バレンタインシーズンの当店ロングセラー
バナナを想わせるフレーバーとキャラメルの甘さ、チョコレートのようなコクとほろ苦さを感じ、クリーミーな質感が楽しい深めの焙煎豆。 ー
甘さ、ほろ苦さ … 初恋か …
豆は深煎りで色が濃く、照りが強い。まるでモカビーンズチョコのようだ。
「 初恋 」なので、浅煎りと思いがちだがそうではない。
今年のブレンドも、なるほど、コクがあり、ほろ苦くて美味しい。
初恋が遠くなるにつれ、このブレンドの味とネーミングの妙がより解ってくると思える。
逆説的に言えば、美味しいと感じる頃というのは、「初恋」が遠く懐かしい年紀となった証なのだろう。
などなど想いながら、佳良のブレンドを愉しむ。
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