数年前から、色んな店で『 メスティン 』を見かけるようになった。
周知のとおり、メスティン(messtin)とは、英語の「mess=軍隊での食事」と「tin=ブリキ製の容器」という二つの言葉の合成語で、意味は携行食器。
メスティンは、第二次世界大戦以前は戦地で食事を加熱調理することも多かったため、調理器具としての機能も備えている。
かつてメスティンといえば、スウェーデンのトランギア社のものが定番。
とは言え、トランギアのメスティントはチープで粗撲なものだった。
しかし、近年のキャンプブームの中、国内の色々なメーカーのメスティンが売られるようになってきた。
そして、計量・炊飯用の目盛を付けたものや、フッ素加工などの表面処理を施したものも登場している。
けれど、よくよく考えてみれば解るが、軍用の携行食で使うのが起源の道具。
いわゆる「ミリメシ」道具。本来、ノンビリ煮炊きなんてする道具じゃない。
ミリメシは、缶詰やパックから出してそのまま食べるのが基本。
メスティンはそうした時に使う道具なのだ。
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日本では、このメスティンを「 飯盒 ( はんごう ) 」と訳したことから、妙な思い違いが生じているように思える。
元々がスウェーデン製で、『 飯盒炊爨 』 ー 「はんごうすいさん」: 主食となる米を炊く意味 ー としての用途はまるで想定されていなかったものだ。
要するに、ご飯を炊く道具として作られたものではない。
そりゃそうでしょ、ヨーロッパの道具ですからね。
しかし、日本においては、トランギアのメスティン = 飯盒との解釈から、あたかも飯盒炊爨の道具のように語られることが少なくない。
メスティンとは元々食器で、調理にも使えます。
日本のご飯だって、まぁ炊けますよというのがホントのところでしょ。
ネットでは、『 万能調理器具 』と書いてるものもある。
いゃいゃ、ちょっと言い過ぎなんじゃ …
特別な材質でもない、工夫の凝らされた形状でもない、ハンドルの付いたアルミの箱。シングルバーナーの上での安定性もいいものじゃない。
提灯記事ですかね …
ちなみに、『 飯盒炊爨 』の観点から言えば、トランギアより、日本の兵式飯盒の方がはるかに美味しいご飯を炊くことが出来る。
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トランギアのメスティンを買ったのは、随分と昔のことだ。
キャンパーや岳人の間で知られてはいたが、一般の知名度は低く、「メスティン」「大メス」「小メス」なんて言っても、なんですかそれって感じだった。
とにかくバリが酷く、鉄工用のヤスリでバリ取りをしないと、そのままじゃとても使えない代物だった。
私の場合山で使うのは、専ら、マルタイの棒ラーメンを食べる日帰り登山のみ。
それ以外の山行やテント泊では、チタンクッカーか、フライパンも付いて袋物ラーメンにピッタリのユニフレームのトレイルスクエアコッヘル。
燕三条の国産品の方がはるかに高品質で使い易すかったからだ。
で近年、メスティンの方は、弁当箱としての用途がほとんどとなった道具だ。
<「 クッカーとマルタイ 山の棒ラーメン & カップヌードル リフィル ー 山道具の棚卸し 連々話 vol. 13 ー 」はこちら>
<「 チタンマグとクッカーのスタッキングお気に入り巾着袋 ― 山道具の棚卸し 連々話 vol. 11」はこちら>
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<「強力な助っ人 弁当箱に山道具メスティン」はこちら>
<「シャリアピンステーキ風弁当 - メスティンの乗っけメシ -」はこちら>
<「大メス緊急出動 !! スパムのクラブハウス風サンド」はこちら>
ところで、BE-PALの11 月号の特別付録にマルタイ棒ラーメンのフィットケースが付いていた。
う~ん、モノとしては面白けど …
やっぱ棒ラーメンは入れて使わないかな …
ハードケースではないので、ザックの中ではかなり注意しないと麺が折れてしまうかも。
パッキング向きじゃないな …
面白ペンケースってところかな …
山でマルタイの棒ラーメンならば、やっぱりトランギアでなければ。
そんなこんな、色々思ったこのフィットケースだった。
<「 ー 山とキャンプの道具たち vol.2 ー 」はこちら>
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