昨今のキャンプと焚火の大ブーム。
ネットには、焚火に関する記事が溢れている。
その中には、焚火の火起こしはメタルマッチ(ファイヤースターター)*が王道といった記述も見られる。
*メタルマッチとは、ロッドと呼ばれるマグネシウムなどの金属棒を、ストライカーというステン
レス鋼などのプレートで削って火花を飛ばす道具。
メタルマッチで着火 → キャンプ上級者 → そんなことはありません
1990年代の第1次キャンプブーム、2010年代からの第2次ブームの中でも、ベテランキャンパーは焚火ではメタルマッチを使って着火するなんてことは聞いたことはない。
おそらく、近年のソロキャンプブームのきっかけとなった芸人の動画の影響だろう。
※ ※ ※
そもそも、メタルマッチという道具は、山の道具というよりサバイバルツールだ。
私も持ってはいるが、一生使うことはないと思っている。
世の中がひっくり返るようなとんでもない天変地異でも起きない限り、あんなものを使うというのはない。
まぁ、万万が一に備えて使えるようになっておきたいと言うのならば、キャンプでなくても練習はできる。
子供に火の面白さを教えるというのは解らないでもないが、今日日、マッチも満足に扱えない子供も多い中、いきなりメタルマッチってのも …
大人が焚火でこれを使うのは、火遊びの道具を楽しむ、あるいはサバイバル技術自体を愛好するといったものでしょう。
もっと言えば、SNSやYoutubeなどでのウケが目的という御仁も少なくないのでは …
ついでに言うと、アメリカのキャンプシーンでも見ない。何しろ合理精神の国だ。
バーナーもランタンも、ホワイトガソリンからOD缶やLEDにサッサと変えた国民だ。
” キャンプを楽しむために焚き火をするのだから、火起こしで時間を無駄にしたくな
い ” ” ガストーチを使えばいいじゃないか ” って感じだ。
いずれにしろ、人様のすることにイチャモンつける気はさらさらないが、キャンプの愉しみ方は人それぞれ。
・焚火 ・料理 ・酒 ・天体観測 … etc.
そして、焚火は、場所、焚火台の有無やその形状、薪・材料、組み方など様々で、その要領も異なる。
その着火方法の王道がメタルマッチというのは違うと思う。
※ ※ ※
とは言え、ガスライターやマッチが使えない場合もある。
かつて、冬の九重連山を歩いたときのこと。気温は、-15℃。
山頂で、友人がタバコに火を着けようと電子ライターを取り出したがまるでダメ。
私がインナーのポケットに入れていたジッポーのオイルライターは、酷寒や強風をものともせず難なく火が着いた。
ノルマンディー上陸作戦を指揮したドワイト・D・アイゼンハワーはジッポーのオイルライターのことを、「 私の持っているライターの中でどんな時でも火がつくのはこれだけだ 」と賞賛したと言われる。
これまで山やキャンプで色んな着火具を使ってきたが、使いやすいのはやはりこの3種だ。
・ オイルライター ・ 暴風・防水マッチ ・ フリント式ガスライター
ライター用オイルの匂いが好きだ。
マッチの塩素酸カリウムと硫黄の匂いもまたいい。
<「 Zippo Fuel Canister ― 山道具の棚卸し 連々話 vol. 7 ― 」はこちら>
<「 冬のアイテム出動 - ZIPPO ハンディウォーマー - 」はこちら>
<「 3台目の焚き火台 コールマン ファイアーディスク ― 山道具の棚卸し vol. 3 ― 」はこちら>
<「 タバコと珈琲は、マッチじゃなければ - 馬首印 マッチ 兼松日産農林 - 」はこちら>
コメントをお書きください