ー かき揚げと『 永谷園 赤だしみそ汁 』 ー

 

 

学生の頃、スーパー『 ユニード 』の中で、駄菓子売りのバイトをしていた。

 

『 ユニード 』とは、かつて九州を中心に西日本各地に展開していたスーパーマーケットチェーンだ。

 

駄菓子屋の社長は、奥さんがユニードの創業者、淵上一族の縁者だとかで、その縁で、福岡市内や近郊のユニード各店を回り、ワンターム3~4日の特設ワゴンを置いて駄菓子を売るのだった。

 

西新店、久留米店、屋形原店、アピロス野間店、春日店、野芥店 …

色んな店に行った。

 

 

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現イオン二日市店が、アピロス二日市店だった頃のこと。

 

昼時、” 塩干屋で、これ食べなよ ” と言って袋をくれた。

中には、鶏飯のおにぎりとエビかき揚げが入っていた

 

ちなみに、「塩干物(えんかんもの)」とは、魚介類を塩に漬けてから干したもの、あるいは、塩辛や干物など魚介類を塩漬けにしたり干したりしたものの総称で、そうした塩干物だけを専門に売る店を「塩干屋(えんかんや)」と呼んでいた。

 

なんだかよく解らないまま、その袋を持って塩干屋に行った。

 

アジやサンマの干物などが並んだ店の奥、目隠しされた畳2枚ほどのスペースに、小さなテーブルと椅子が置かれていた。

 

塩干屋の大将は、何も言わず、お椀に「 永谷園 赤だしみそ汁 」の粉末を入れ、ポットのお湯を注いだ。駄菓子屋の社長と塩干屋の大将は馴染みなのか …

 

そして、” そのかき揚げを入れるんだ ”  と。

 

うどんや蕎麦に乗せてなら食べるけど、赤だしみそ汁に ?

少しばかり疑念を抱きつつ、言われたとおりに。

 

カラッと揚がったエビのかき揚げが、赤だしを吸っていいあんばい。

赤だしは、かき揚げの油がしみ出して濃厚だけど、後味はサッパリしてる。

 

初めて食べた「エビかき揚げ入り赤だしみそ汁」。

予想よりはるかに美味しかった。

 

家族にも、親戚にも、こんな食べ方をする者はいなかった。

知らなかったのオレだけ ? 世間では、みんなやってんの ?

 

 

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それから色々と試してみた。

 

インスタントみそ汁は、粉末、生味噌、フリーズドライを問わず、油ものと相性のいい赤だしがベストだ。 

 

かき揚げは、野菜天でもいい。ごぼう天の香りもなかなかいい。

ベッタリ感がなくカラッと揚がったもので、衣が多過ぎないもの。

 

なにはともあれ、かき揚げの質・出来が美味しさの決め手だ。

 

ついでながら、レガネットキュートのかき揚げとかしわ飯は美味しい。

 

かき揚げを入れた永谷園の赤だしみそ汁の味は、40年余の時を経ても変わらない。

 

 

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