想夫恋焼の美味しさを決める最も大きな要素は、麺の焼きと特製ソース。
その特製ソースは、一子相伝と言われている。
以前、角社長とお話した際には、
「 新鮮な青いトマトをふんだんに使う 」、「 作り方は妻のみぞ知る 」とだけ言われた。
本当のところ、どうなんすかね …
大分県、福岡県を中心に、今や全国で四十数店舗を展開する(株)想夫恋。
想夫恋各店で使われる特製ソースの総量は、相当なものだろう。
まえに、想夫恋の特製ソースのことを書いたことがある。
先だって、職場の加工食品の専門家であるリケジョに、そのブログの記述に誤りがないか、
そして、その特製ソースの印象を尋ねた。
<「 アミノ酸液とアミノ酸等 / 想夫恋風のソースづくり ブレンド編 Season2 vol. 3」>
彼女の所感の中で、印象的だった言葉がある。
それは、” ブレンダーがいらっしゃるのでしょうね … ”
ブレンダーは、ウイスキーの世界でよく使われる。
ウイスキーブレンダーの最も重要な仕事は『 味を守る 』ことだと言われる。
ワインやビールのように収穫年や原料・製法の違いによって生まれる味の違いを特長としている醸造酒と違い、ウイスキーは原料や製法、熟成年数の異なる原酒を数十種類ブレンドすることで、それぞれの商品の味を守り続けている。
ウイスキー原酒は製法や熟成期間によって、味や香りが大きく異なってくる。
熟成庫にはどのような香味タイプの原酒がどの程度あるのか。数年後にはどう変化しているのか。
このような原酒の熟成状態を吟味しながら使用する原酒を選び出し、ブレンド比率を決めてゆく。
こうしたことによって、ブレンダーは長年にわってウイスキーの味を守り続けている。
(株)想夫恋の工場で作られる特製ソースの量は、家内工業で作られる、味噌や醤油とは訳が違う。
いかに一子相伝とはいえ、角社長の奥様やご令嬢だけで仕込めるものではないはずだ。
仕込みの一定のプロセスまでは、社員が行っていると考えられるが …
しかし、添付調味料の原材料であるトマト、リンゴ、玉ねぎ、ニンニクは、同じ品種であっても自然の食材。その時々で、甘みや酸味などが異なっているもの。
また、アミノ酸液にしても、原料は大豆や小麦なので微妙な違いがあるかもしれない。
さらに、気温や湿度のなどによっても、発酵・熟成は異なるだろう。
なので、同じ原材料を使って仕込んでも、毎回、同じ味の特製ソースにはならないと考えられる。
そこで、” 味を決める人間 ” が不可欠だ。
最終工程の特製ソースの味を確かめながら、醸造酢、砂糖、食塩、アミノ酸液、カラメル色素などのいずれか、又は複数をさらに加えて味を調整するものと推測する。
” いつもの特製ソースの味か否か ” …
そして、出荷の可否を決める。
この ” 味を決める人間 ” こそが、角社長の奥様なのではないだろうか。
そうしたことから、同僚のリケジョは ” ブレンダー … ” と言ったのだろう。
加えて言えば、(株)想夫恋が自社で仕込むこの特製ソースの製法が、想夫恋焼とその盗作・模倣店の『 日田やきそば 』を大きく隔てるものなのだ。
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