” あんたも、この修羅の国に来ちまったんだ。金座布団目指して、死ぬ気で頑張んな ”
議長職も務めた経験もある若い地方議員は、前に恐縮して座っている白髪頭の一年生議員にこう言った。
金座布団とは「議長職」のこと。
実際に、議長席に金色の座布団が敷いてあるわけではない。
議会人の隠語なのだろう。
地方議員になったからには、目指すは『議長』の職。
地方公共団体の長と地方議会の議員は、住民の直接選挙によって選ばれる、いわゆる二元代表制だ。
議決機関である議会と、首長はじめとする執行機関の関係は「車の両輪」にたとえられる。
そうした議会の議長ともなれば、秘書や公用車が付くことが多く、一般の議員とは扱われ方が大きく違ってくる。
これが国政ならば「国務大臣」だろうし、内閣を組織し、閣議の主宰、行政各部の指揮・監督を行う内閣総理大臣は、豪華絢爛な「金座布団」にちがいない。
そんな金座布団を目指していくことは、「修羅の国」での戦いで生き残らなければならない。議長経験者の議員は、そう言ったのだろう。
「修羅の国」は、マンガ『北斗の拳』に登場する架空の国家。
国家や文明は崩壊し、『力』が全てを支配する国だ。
福岡県では、県内に本拠地を置く指定暴力団が5つあり、暴力団同士の抗争や一般人を巻き込んだ事件が多発したことから、かつて、ネットなどで「北斗の拳」の「修羅の国」になぞらえ『修羅の国 福岡』と揶揄された。
実際、日本の政治の世界と、いわゆる反社会的勢力の世界は、体質的によく似ている。
危機事態では、その世界が持つ様々な病根が表出する。
民草が、塗炭の苦しみを味わう中、政治家、首長をはじめ、特権階級の人間たちは、
相も変わらずやりたい放題。
いまこそ、あらためて日本の民主主義を疑い吟味すべき時だ。
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