映画「頭上の敵機」「メンフィス・ベル」「フライングフォートレス」は、いずれも、第二次世界大戦時、アメリカ空軍のドイツ軍需工場に対する昼間爆撃の兵士たちの様子を描いたものだが、その主題は大きく異なる。
共通するのは、登場する飛行機がフライングフォートレス(空飛ぶ要塞)とも呼ばれる、B-17であること。
第二次世界大戦に登場する軍用機が好きだ。
子どもの頃、父親が寝物語のように語った戦闘機のことや、映画館に度々連れられて観た戦争映画によるものだろう。
そんなことから、零戦、スピットファイア、メッサーシュミット、グラマンなど単座レシプロの戦闘機のプラモデルや書籍、ビデオなどを買い集めた。
成人してからは、年を重ねるごとに、戦闘機よりも大型の重爆撃機に惹かれるようになった。
生き物のようなレシプロエンジン4~6発で飛ぶ機体は、大きく流麗だ。
そして、機体の頭・尾、上下等に設置したガラス張りの銃塔や回転銃座から突き出す機関銃が、敵機を寄せ付けない。
そんな姿が、機械好きたちを魅了する。
とりわけ、好きなのがB-17。
当初の乗員は8名で、銃座が5つもあったことから、たちまち「フライングフォートレス」(空飛ぶ要塞)のニックネームが付けられた。
その頑丈な機体やすぐれた防弾防火装置により、太平洋戦争が始まってからは、零戦の20㎜機銃ですら「撃っても撃っても落ちない」と日本海軍のパイロット達を嘆かせた。
また、4発機のB-17はすぐれた安定性を持つ機体で、エンジンの1つ2つが止まったり、機体や翼が穴だらけになっても帰還するものが多数あったことから搭乗員に信頼された。
映画「メンフィス・ベル」では、操縦士、副操縦士、航空士、爆撃手、無線士、旋回銃座、後尾銃座、機関士兼上部銃座銃手、左右側面と、それぞれに役割の異なる搭乗員10名が搭乗し、ミッションを遂行した。
チームによる仕事、リーダーシップとメンバーシップ、そして信頼 …
そんなB-17に対し、ドイツ戦闘機隊は、最高速700㎞近いメッサーシュミット109Gやフォッケウルフ190Dなどを繰り出し、30㎜カノン砲や空対空ロケット弾なども加え、あらゆる手段を講じて攻撃を繰り返した。
さらに、B-17の弱点が機首正面上方向にあることを知ったドイツ戦闘機隊は、まず、編隊長機だけに狙いを定め、執拗に攻撃を繰り返して撃墜し、編隊が乱れたところを次々に落とすという戦法をとった。
『 頭上の敵機 』(Twelve O'Clock High)は、 ヘンリー・キング監督による1949年のアメリカの戦争映画である。
" twelve o'clock high " は、敵機の方向を示す用語で、" twelve o'clock " はクロックポジションで12時の方向(前方)、" high " は自身より上方に敵機がいることを表している。
つまり、" twelve o'clock high " を直訳すれば『12時の方向上』であり、この方向から敵機が接近していることを意味している。
こうしたドイツ軍の攻撃により、ドイツの軍需工場に対する爆破の出撃では、時に、約20%が未帰還となったため、乗員の間に極度のストレスや不安・葛藤が生じるようになった。
この映画は、そうした状況の中で苦悩する隊長と部下の様子を描いたもので、多くのアメリカ国民の共感を呼んだ。
そして、戦略航空軍団のカーチス・ルメイ将軍は、この映画を大いに評価した上で、アメリカのあらゆるSL理論を採用する高級軍人養成学校で観ることを求めた。
ちなみに、SL理論、シチュエーション・リーダーシップ理論、または状況対応型リーダーシップ理論とは、ポール・ハーシーとケン・ブランチャードによって作られた理論で、組織が機能的に行動するための管理方法に取り組んでいる際に開発されたものだ。
組織のリーダーとは、いかに行動すべきか、いかにあるべきかを考えさせる映画だ。
かつての仲間たちの顔が浮かぶ。
やがて組織を率いるのは、HちゃんかそれともK君か…
そしてS君と続くのかな…
望みもしないことだろうけど …
まぁ、ケセラセラですよ。
<「 栄光 と悲劇 の戦闘機 『 零戦 』 -「 風立ちぬ 」に思う -」こちら>
<「ミリタリー・自衛隊」はこちら>
【 B-17 G型 性能諸元 】
全 長 : 22.66m 全幅:31.62m 全高:5.82m 正規全備重量:16,391kg
エンジン : ライト R-1820-97「サイクロン」 空冷星形9気筒 (離床馬力1200馬力×4)
最大速度 : 462km/h (高度7000m)
武 装 : 12.7mm旋回機銃×13(機体固定)
爆 装 : 最大 7983kg
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