今回、うま味調味料[化学調味料](以下、「化調」という。)を使って想夫恋風のソースを作るにあたり、先ず、「うま味」について、簡単に整理しておく。
かつて、ヒトの味覚は、酸味(さんみ)、甘味(かんみ)、塩味(えんみ)、苦味(にがみ)の4つの基本味と考えられていた。
これに対し、日本の化学者 池田菊苗 氏が、1907年、昆布に由来する「うま味」が存在すると発表する。
しかしながら、うま味というものは、塩味や甘味がうまく調和した味覚に過ぎないと考えていた多くの欧米の学者達には懐疑的にしか受け止められなかった。
ところが、2000年に舌の味蕾にある感覚細胞にグルタミン酸受容体が発見されたことにより、5つめの味覚、「うま味」として世界的に認知されることになる。
ちなみに、日本以外の国、とりわけ「うま味」の認知が遅れた欧米諸国の言語では、「うま味」に相当する言葉がなかったことから、日本語を借用した『 umami 』を使っている場合が多い。
上述のとおり、「うま味」は、酸味・甘味・塩味・苦味と同じ味覚の一つだ。
なので、例えば、甘味が強いといえば、素直に甘い、あるいは甘い味が他の味より強く出ている、酸味が強いといえば、酸っぱいなどと受け取る。
これと同じように考えれば、うま味が強いと言えば、グルタミン酸<昆布の旨味>(他にも、イノシン酸<鰹節の旨味>、グアニル酸<椎茸の旨味>)が強いという意味になるのだが、まぁ、そういう風には使われない。
一般的には、うま味が強い、効いていると言えば、「うまい」「美味しい」の意味で使われることが多い。
私自身、「今日の想夫恋焼は麺にうま味がしっかりと入っていて美味しい」などと書いたりする。
「うま味」という言葉には、狭義と広義の意味が存在する。この辺が、ややこしい。
上の表は、今回、想夫恋風のソースを作るにために選んだ4つの化調の成分などを簡単にまとめたもの。参考に「ほんだし こんぶだし」も加えた。
次に、ネット販売での送料抜きの価格帯(1Kg)だ。
◇ 味の素 700~800円
◇ ハイミー 1,500円
◇ いの一番 1,500円
◇ グルエース 500~600円
◇ ほんだし こんぶだし 1,900円
1gあたり、味の素は0.7~0.8円、ハイミー・いの一番は約2倍の1.5円。
出汁としても使えるハイミー、いの一番の価格が高い。
ラーメン店で使われているグルエースは業務用、さすがに安価だ。
成分をみると、いずれもほとんどがグルタミン酸ナトリウムだが、それ以外のイノシン酸などの微妙な配合の違いにより、味の違いが生じている。
あまり聞き慣れない「5'-リボヌクレオタイドナトリウム」は、ざっくり言えば、鰹節の旨味成分イノシン酸と、シイタケの旨味成分グアニル酸の混合物だ。
この4つの化調を単品でソースに加え、想夫恋風の焼きそばを作る一連の行程の中で、どんな味へと変化するか、それをみるのが今回の目的だ。
まずは、ハイミーから確かめてみよう。
(つづく)
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