前回、想夫恋風の焼きそば麺づくりに挑戦し、満足な成果を得られなかった理由は、目的を見失ってしまったことにある。
想夫恋が提供する ” 舌ざわりがなめらかで、歯ごたえがあり弾力性に富んで、風味が豊かで決して食べ飽きない “。
そんな麺を目指し、その成果も失敗も想夫恋ファンの皆さんに知らせること、それが目的だった。
小麦粉の選択と配合、加水率、かん水、等々、中華麺の世界は奥深い。
ラーメン通、中華麺通になりたいわけではないのに、複雑で多様な中華麺の迷路に入ってしまった。
想夫恋の創業者 故角 安親 氏は、久留米のパン・菓子店「必勝堂」で職人として働き、小麦粉の扱いに熟達した方。そんな角 安親 氏が作り上げたのが想夫恋焼に適した麺である。
ド素人の私が、簡単にそんな麺を作れるはずがない。
想夫恋焼の麺の『 ようなもの 』であればいい。
肩の力を抜いて、楽しんでやってみよう … そう思った。
トップの写真は、今回買った小麦粉とかん水。
下の表は、その商品説明と蛋白、灰分を表にしたものだ。
一般家庭で最も多く使われている日清製粉の「カメリヤ」は、蛋白11.8%、灰分0.37%.
面白そうな強力粉は、「オーション」。あのラーメン二郎が使っている粉とのこと。
蛋白13%、灰分0.52%なんて粉は、これまで使ったことがない。「ゆめちから」も面白そうだ。
下の図は、菓子・パン材料の専門店 富澤商店のもの。
縦軸はタンパク質、横軸は灰分。
その小麦粉の釜伸びや風味の強さを知る上でわかりやすい図だ。
< 参考:一般社団法人 製麺振興会 小麦・小麦粉の商品知識 「中華めん用粉」 >
ー 中華めん用粉からは、生中華めん、蒸し中華めん、餃子、ワンタンなどが作られる。これらは種類が多い上に、製法が様々でありいろいろな食べ方がされている。
そのため、主原料の小麦粉に求められる品質にもかなり幅があるが、共通して求められる品質特性は、
(1)茹でためんが特有のシッカリとしたコシがある食感で、丼の中でのゆで伸びが
遅いこと
(2)生めんが冴えた色合いで、ホシが少なく経時的な変色が少ないことである。
中華めん特有の食感をつくり出すために、硬質系の小麦が原料として使われる。
めんの種類によって小麦粉に求められるたんぱく質の量が異なり、10.5%から12.0%くらいまでの幅があるので、たんぱく質レベルが異なる2~4種類の小麦を配合して小麦粉がつくられる。
こね水に「かん水」を添加することによって、中華めんらしい食味、食感になるほか、小麦粉と反応しておいしそうな黄色にする。
生中華めんでは、製麺してから消費されるまで1日ほどの間に、かん水が小麦粉に作用してめんの黄色か少しずつ変化する(変色する)。
冴えた、きれいな色の胚乳を持つ小麦を原料として使い、製粉方法を工夫し、歩留まりを調整することによって、めんがきれいな色に仕上がり、経時変色が少ない小麦粉をつくることができる。ー
加水率は、麺に含まれる水分の割合。
一般的に、加水率が低いほど麺がスープを吸収するため伸びやすく、高いほどモチモチとした食感になる。
巷では、加水率30%以下を低加水、30~40%程度を中加水、40%程度以上を多加水と呼ぶ。
35%前後の加水率の麺が多いが、低加水麺の代表が博多ラーメンで、九州のラーメンのほとんどが低加水だ。
下の表は、各地のラーメンの加水率や麺幅などをまとめたもの。
久留米ラーメンを赤枠にしたのは、昭和33年に想夫恋が開店して1年ほどは、タレ(ソース)の熟成が進まず、その間、ラーメンを提供して凌いでいたこと。
そして、大分県内の最初のラーメン店は、昭和29年に日田市にオープンした「来々軒」。
昭和22年、久留米市にオープンした「三九」の流れを汲む店である。
そうしたことを考えると、久留米ラーメンの加水率28~30%を意識せざるを得ない。
想夫恋の麺の『ようなも』ができればいい。
前回のようにこだわりすぎず、できるだけ簡単に作ってみる。
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