幼い頃、テレビの修理に来た近所の電気屋のおじさんから小さな真空管をもらった。
テレビがブラウン管だった時代、その下に林立するガラスの部品に目を奪われた。
” 欲しいかい ? ” と尋ねられ、” うん ”と頷いた。
使えなくなった小さな真空管なるものを布で拭いて、私にくれた。
その後も、時々違う種類の真空管をくれた。
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」はこちら>
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キラキラ光る小さなガラス容器の中に、微細な金属の仕組みが見えた。
それがどういうものなのか理解できるはずはない。
とんがった銀色のおつむに、下からは金属の棒が何本も出ていた。
まるでロケットのようだと思った。
おまけに、絵本で見たロケットとよりカッコいい。特別な、何かとても新しいモノに見えた。
もらった真空管を並べて、宇宙基地を作った。
程なく、真空管は身の回りから姿を消していった。それがトランジスタの登場だったことだと解るのはずっと後のこと。
それから、長い時を経てオーディオの世界で再会を果たすことになる。
なぜ、訳もなく真空管に惹かれる … かつてそう思った。
子供の頃に抱いた強い憧憬が、消えることなく心の奥にあり続けているのだろう。
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