「日田やきそば」創設の経緯及びその定義について、正確に承知しているわけではない。
従って、あくまで私の個人的な見解であることを、先ず申し上げておかなければならない。
日田の焼きそばは「想夫恋の焼きそば」を起源とする。
周知のとおり、「想夫恋の焼きそば」は、昭和30年、日田市の角 安親(すみ やすちか)氏が着想・考案し、改良を重ねた末、32年に創業したものである。
氏が心血を注いだこの独創的な焼きそばは、凄まじい評判を呼び、以降、日田市を中心に店舗を展開していくのである。
この想夫恋人気に便乗、また、おこぼれにあずかるべく、その模倣店、盗作品を売るラーメン店などが、日田市内に多数誕生していくのである。
現在、日田市を中心に、想夫恋風の焼きそばを売りにする店が20店舗以上あると言わる程の集積を見せている。
この集積の形態は、クラスター(ぶどうの房の意味)型の集積ではなく、自ら光を放つ恒星である「想夫恋」を中心として、その恒星の光を受けてのみ輝ける周囲の惑星・矮星である模倣店、私は、このような形態であると考える。
2000年を過ぎ、ご当地グルメ、B級グルメブームが到来する。
2006年には第1回の「B級ご当地グルメの祭典 B-1グランプリ」が開催され、「冨士宮やきそば」がグランプリを獲得する。当初の来場者は2万人弱であったものの、第2回は20万人以上、以降も20万人から50万人が来場するビッグイベントとなっていくのである。
このような状況に目をつけたのが、日田市内の想夫恋の模倣店である。
彼らは、地域の活性化、町おこしを錦の御旗に、想夫恋模倣店の組織化を図るのである。それが、「日田やきそば研究会(ラーメン・焼きそばで日田を元気にする研究会)」である。
その活動の中心をなすのが「日田やきそば」なのである。
各種のイベントなどへの出展を通じて、日田市内に多数存在する想夫恋模倣店の焼きそばを「日田やきそば」としてブランド化し、地域の活性化を図るというのが大儀である。
しかし、「日田やきそば」のブランド化を推進する組織が、いかなる名分を立てようとも、その実、私益の拡大こそが真の目的であると私は思っている。
2009年、10万人規模のイベントで「日田やきそば」と書かれたノボリを立てた店を見つけ、食べる機会を得た。それは、お祭りの露店などで出されるどこにでもある焼きそばと五十歩百歩のもの。失望を禁じ得なかった。
全国各地から、多くの人が集まるビッグイベントで、このような商品を提供したのでは、決してブランドの確立には繋がらないばかりか、日田の焼きそばの名をおとしめすことにしかならないと感じたのである。
なお、「日田焼きそば」は(株)想夫恋の登録商標となっているが、これは上記のような活動を行う模倣店と一線を画し、それらに対処する法的措置の一環であるものと考えている。
「想夫恋の焼きそば」は揺るぎないブランドである。
これに対し、「日田やきそば」は、模倣店がB級グルメブームに便乗し、私益を拡大すべく、町おこしと偽装して展開しているものと見るべきであろう。
今日、模倣店が、如何にオリジナリティあるいは価格による顧客満足を叫び、「日田やきそば」ブランドの旗を掲げようとも、その誕生は、模倣又は盗作であったことは消しがたい真実である。
一方、初代の模倣者、盗作者にとって、その真実は葬り去りたい事実である。そして二代目三代目、世襲者ともなれば 、平然と自らに都合の良い歴史を作るのである。
現に、マスコミなどの取材の中で、自らの店が日田の焼きそばの発祥と受け取らせる、あるいは自らの店の創作であるかのごとき発言すら行う厚顔無恥な店主さえ現れている。そしていつか、自らの存在を正当化するため、日田における焼きそばの歴史すら捏造しようとするのではないだろうか。
「日田やきそば研究会」関係のホームページは圧巻である。まさに、まがい物、バチモノのオンパレードである。あげく、その一部の店は、悪質な過少申告、税務署の査察が入るなど尋常ではない。 脱税は、泥棒である。想夫恋の製法などを盗んだのに飽き足らず、税金まで盗むとは。
「日田やきそば」はこのような方々に贈られる勲章である。
模倣店は、自らの誕生の経緯と「想夫恋」によって糊口を凌いでこられた時代を今一度顧み、改めて「想夫恋」から享受してきた多大な恩恵を認識し直すとともに、「想夫恋」あってこその日田の焼きそばであることを肝に銘じねばならない 。
想夫恋の焼きそばは、日本の焼きそば史に燦然と輝く存在である。
今日、我が国における焼きそば文化の隆盛を見るとき、想夫恋の果たした役割に歴史的意義すら感じられる。
「想夫恋」は、その歴史、理念、姿勢、さらに、長年にわたっての雇用の場の提供や各種の納税などを通じての地域経済に対する企業としての貢献も含め、高き山の頂に鎮座する至高の存在。それを持たない模倣店は、遙か下の山裾でそれを唯々見上げるのみの存在に過ぎない。
従って、「想夫恋」と「日田やきそば」が同列に扱われるなど笑止千万。
ましてや、「日田やきそばの想夫恋」など論外、全くもって無知蒙昧と言わざるを得ないのである。
そして想夫恋の存在は、日田、九州はもとより、我が国の焼きそば文化発展の視点で捉えられるべきものであり、決して昨日今日作られたB級グルメ・ご当地グルメなどに包含され、矮小化されるべきものでは断じてないのである。
<日田やきそばの真実vol.1 - 何故、「焼きそば」ではないのか >
<日田やきそばの真実vol.2 ー「B-1グランプリin北九州」イミテーションの粗製濫造 >
<日田やきそばの真実vol.3 ー 想夫恋との価格差200円の内実 >
<日田やきそばの真実Vol.4 ー「日田やきそば研究会」と久留米ラーメン >
<日田焼きそばの真実vol.5 ー『両面焼きそばアペタイト』と日田『三隈飯店』>
<日田やきそばの真実vol.6 ー 赤猫「日田焼そば 萬天楼」>
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