随分昔のこと。
中国のお土産にプーアール茶(餅茶)をもらったことをきっかけに、茶道具を買うようになった。
中国茶は、産地などを含めると1000種類近くあるといわれ、「製造方法」と「品質」を基に、乾燥工程を経た茶葉の色をもって「緑茶」、「黄茶」、「黒茶」、「白茶」、「青茶」、「紅茶」の大きく6つに分類される。
中国のお茶の世界はとても奥深い。
お茶によって道具や作法も異なる。
どうせなら、それらしく飲んでみたい。
で、工夫茶器と呼ばれる専用の茶道具を買ったのだった。
何でも形から入る、道具から入る人間。この性分はどうにもならない。
ところが、しばらくしてとんでもなく仕事が忙しくなり中国茶どころではなくなって …
茶道具たちは、あんまり使われないまま道具部屋待機に …
自由人となって、ようやくゆったりと中国茶を愉しめる時がやってきた。
<「 中国茶を愉しむ 」はこちら>
日本で一般に急須と呼ばれるもの。
お茶を淹れるときの主役の茶器。
中国では一度に飲み切る量だけ抽出できる小ぶりのものが主流。
小さめのものの方が扱い易く、茶葉の節約にもなる。
茶を飲むための杯。
大きさは、一口で注がれた茶をすべて飲み干せる小さなものから大きなものまで様々。
写真右の器。
香りを楽しむための縦長の杯で、お茶を注いだら茶杯に移し、残り香を聞く。
烏龍茶や鉄観音茶などの青茶で、飲むだけでなく、特有の香りを楽しむのに使う。
茶壷(ちゃふう)で淹れたお茶の濃さを整えるための器。
一旦、茶海にお茶を全部注ぎ入れてから、それぞれの茶杯に注ぎ分ける。
コーヒーサーバーのようなもの。
文字どおり蓋付きの茶碗のことだが、茶托含めた3点セットのことを指す。
茶葉を入れて茶杯にもなるし、茶杯に注ぎ分ける茶壺としても使うこともできる。
さらに、蓋で聞香杯のように香りをかぐこともできる万能の茶器。
中国茶器のスターです。
茶葉の粉くずを濾し取る中国茶用の茶漉し器(ティーストレーナー)。
ところで、上のポンチ絵では、
茶漏 = 茶漉し
と記述されているが、間違いでは …?
茶漏は、茶葉を茶壺に投入する際に、茶葉を入れやすくするための漏斗。
ネット上でも混同が多く見られる。
プーアル茶餅や湖南黒茶、花茶球など、圧縮された茶葉を崩すのに使う茶針。
とても危ない道具。
使うときは、細心の注意が必要だ。
先端恐怖症の方は、マイナスドライバーをお勧めする。
茶壺や茶杯などに湯をかける際、こぼれた湯を受け止めるための箱。
茶葉を茶壺や蓋椀に投入する前に、茶缶などから茶葉を移し替え、茶葉を鑑賞したり取り分けたりするための道具。
日本のお茶の世界では、抹茶碗を洗ったりすすいだりしたお湯を捨てるための 『 建水(けんすい)』と呼ばれる道具がある。
中国茶においても、茶器を温めたお湯を捨てたり、お茶の種類を変えるとき、さらに茶葉を捨てたりする道具として『 茶こぼし・湯こぼし 』 と呼ばれる道具を使ったりする。
写真は、日本の茶道具の建水。
抹茶道具から流用している。
六君子は、お茶を淹れる一連の所作を美しくみせる中国式の茶道具。
演技、パフォーマンスアイテムの要素が大きいが、らしく見えるのです。
雰囲気も大事です。
上の写真の手前左から、
茶則(ちゃそく)、茶挟(ちゃばさみ)、茶針(ちゃばり)、茶匙(ちゃさじ)、右上の丸いものが茶漏(ちゃろう)。
茶則(ちゃそく)
茶缶から茶葉を取り出し茶荷に入れる道具。
茶荷を使わない場合は、直接茶壺へ入れる。
茶挟(ちゃばさみ)
茶殻を茶壺から取り出すのに使う。
茶杯を挟むのに使う人もいる。
茶針(ちゃばり)
中国茶壺の多くは、注ぎ口の手前に複数の小さな穴が開いていて茶漉しとなっている。この穴が目詰まりした際に茶針でつついて出す。
茶匙(ちゃさじ)
茶荷(ちゃか)を使う際、茶荷から茶壺へ茶葉を移す際に使う。
飲み終わった後、茶殻を茶壺から出すのに使うという人も。
茶漏(ちゃろう)
茶壺の口は狭いものが多く、茶葉がこぼれないように茶壺の口において使う。
茶筒
上記5つの道具を収納する筒・箱。